特定技能の対象業種と業務内容16分野を紹介!従事できる職種をわかりやすく解説

日本の多くの産業で人手不足が深刻化しているなかで、特定技能外国人材の採用を検討している企業も多いのではないでしょうか。介護や建設業、製造業といった基幹産業だけでなく、外食業や宿泊業などサービス分野にも対応しており、多岐にわたる業種で特定技能外国人が即戦力として活躍しています。 本記事では、特定技能制度が対象とする各分野について、それぞれの業種で従事可能な業務内容を詳しく解説しています。自社のニーズに合った分野や業務内容を理解し、採用計画などに活かしてみてください。

特定技能の業種と業務内容を紹介

特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を背景に2019年に創設された在留資格制度です。特定技能制度では、特定の技能を持つ外国人が16分野において就労することが認められています。また、特定技能には「1号」と「2号」があり、1号は主に単純労働を含む業務、2号はより高度な技能を伴う業務が対象です。 以下では、分野ごとに特定技能に基づく業務内容を詳しく解説します。

1.介護

介護分野は、高齢化が進む日本社会において特に人材不足が深刻な分野です。特定技能外国人は、介護施設や在宅サービスで利用者の生活を支える役割を担います。身体介護や生活支援など、利用者の日常生活を支える仕事が中心です。
【従事できる業務内容】
● 食事、入浴、排せつなどの身体介護
● レクリエーションや機能訓練の補助
● 清掃や洗濯などの日常生活支援
● 福祉用具の管理や安全衛生に関する作業

2.ビルクリーニング

ビルクリーニング分野は、建物内部の清掃を通じて快適な環境を維持する仕事を担います。オフィスビルや商業施設などで、専門的な技術を活かした清掃作業が求められます。
【従事できる業務内容】
● 床や壁、トイレなど建物内部の清掃作業
● ゴミ収集や分別作業
● 客室清掃やベッドメイキングなどの関連業務

3.工業製品製造業(2022年に3分野統合)

工業製品製造業は、日本の製造業を支える分野です。2022年に素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産区分が統合され、多岐にわたる製造工程で特定技能外国人が活躍しています。
素形材区分
素形材区分は、金属やプラスチック素材を加工して形状を作る工程を担います。鋳造や鍛造など、日本のものづくりの基盤となる技術が中心です。
【従事できる業務内容】
● 金属加工(鋳造、鍛造、プレス加工など)
● 表面処理(めっきや塗装など)
● 部品仕上げや検査作業
産業機械製造区分
産業機械製造区分は、各種機械部品の組み立てや加工が主な仕事です。工場内での機械操作や品質管理も含まれます。
【従事できる業務内容】
● 機械部品の組み立て・加工作業
● 製造ラインでの機械操作・点検作業
● 製品検査およびメンテナンス
電気・電子情報関連産区分
電気・電子情報関連区分は、電子機器や部品の組み立て・検査作業が中心です。精密な技術と集中力が求められる分野です。
【従事できる業務内容】
● 電子部品や機器の組立・検査作業
● 半導体製造装置の操作とメンテナンス
● 電気機器関連部品の品質管理。

4.建設業

建設業は、日本国内のインフラ整備や都市開発を支える重要な分野です。道路や橋梁、建築物の施工現場で幅広い作業が求められます。特定技能外国人は、専門的な技術を活かして現場作業を担い、社会基盤の維持に貢献しています。
【従事できる業務内容】
● 土木工事(型枠施工、鉄筋施工、コンクリート圧送など)
● 建築工事(内装仕上げ、建築板金、屋根ふきなど)
● 建設機械の操作や保守作業

5.造船・舶用工業

造船・舶用工業は、日本が世界的に競争力を持つ分野です。そのため、船舶製造や修理に関わる技術力が求められます。従事する特定技能外国人は、精密な作業や専門的な工程に携わり、海運産業の発展を支えています。
【従事できる業務内容】
● 船体や部品の製造・組み立て作業(溶接、塗装など)
● 船舶関連設備の点検・修理作業
● 機械加工や鉄工など付随する関連作業

6.自動車整備

自動車整備分野は、安全な運行を支えるための点検・整備が中心です。自動車の故障修理から部品交換まで、幅広い技術が必要とされます。この分野で働く特定技能外国人は、自動車産業の安定した運営に貢献しているでしょう。
【従事できる業務内容】
● 自動車の日常点検整備(エンジンオイル交換、タイヤ交換など)
● 法定点検整備(ブレーキやエンジンの点検)
● 故障箇所の修理および部品交換

7.航空

航空分野は、安全かつ効率的な空港運営を支える地上支援作業が中心です。航空機の誘導や貨物管理など、多岐にわたる役割があります。そのため、この分野で活躍する特定技能外国人は、航空産業の円滑な運営に欠かせない存在です。
【従事できる業務内容】
● 空港グランドハンドリング(手荷物運搬、貨物仕分けなど)
● 航空機誘導や給油作業
● 航空機内部および外部の清掃・装備品管理

8.宿泊

宿泊分野では、日本各地のホテルや旅館で接客サービスを行います。フロント対応から客室清掃まで、幅広い役割があります。観光業が盛んな日本において、特定技能外国人は活性化にも貢献しています。
【従事できる業務内容】
● フロント対応(チェックイン・チェックアウト、予約受付)
● 客室清掃およびアメニティ補充作業
● レストランでの配膳や調理補助

9.農業

農業分野は日本の食料供給を支える基幹産業であり、国民生活に欠かせません。しかし、高齢化や若年層の就農離れにより、農村地域では深刻な労働力不足が続いています。特定技能外国人は耕種農業や畜産農業など、多岐にわたる作業で生産性向上に携わります。季節ごとの収穫期には効率的な作業が求められるため、重労働も担っています。
【従事できる業務内容】
● 耕種農業(野菜や果物の栽培管理、収穫作業)
● 畜産業(家畜の飼育管理、餌やり、衛生管理)
● 農産物の選別・加工・出荷作業

10.漁業

漁業分野は日本の豊かな海洋資源を活用し、水産物を生産する産業です。しかし、漁村地域では高齢化と人口減少が進み、特定技能外国人に頼るケースも増えています。漁業には自然環境への適応力が求められ、海上での作業では体力と集中力も必要です。また、水揚げ後の処理や保存作業では衛生管理と品質保持が重要視される分野です。
【従事できる業務内容】
● 養殖場での魚介類管理(餌やり、水質管理など)
● 漁船での漁獲作業(水揚げ、漁具の準備・補修)
● 水産物の処理・保存・出荷作業

11.飲食料品製造業

飲食料品製造分野は、日本国内外で需要が高まる食品加工を担います。日本独自の食品文化や高品質な製品は海外でも評価されており、この分野は輸出産業としても成長しています。一方で、食品工場では慢性的な人手不足が課題となっており、特定技能外国人がその解決に貢献しています。
【従事できる業務内容】
● 食品加工ラインでの製造作業(缶詰、菓子、麺類など)
● 包装・梱包作業および品質チェック
● ● 衛生管理や機械操作による効率化支援

12.外食業

外食分野は日本国内で急増する飲食店需要に対応するため、人材不足が大きな課題となっています。この分野では、調理や接客など店舗運営全般に関わる仕事が中心です。また、特定技能外国人は多様な文化背景を持ちながらも日本式のおもてなし精神を学び、それを実践することで顧客満足度向上に従事しています。
【従事できる業務内容】
● 調理補助(料理の準備、盛り付けなど)
● 接客サービス(注文受付、配膳、会計対応)
● 店舗清掃や在庫管理など運営補助

13.自動車運送業

自動車運送業は、物流や人の移動を支える役割を担っています。近年、ドライバー不足が深刻化し、特定技能外国人への期待が高まっています。ただし、日本の法律に基づいた安全運転への意識と運転技能が求められる分野といえるでしょう。
【従事できる業務内容】
● トラックを使った荷物の運搬や配送作業
● 荷物の積み下ろし、荷物の仕分けや管理
● バスなど旅客車両の運転や乗客対応、車両点検作業

14.鉄道

鉄道分野は、日本の公共交通機関として多くの人々の日常生活を支えています。そのため、正確さと責任感が求められる仕事といえます。特定技能外国人は安全で快適な鉄道サービスを維持する作業として、施設や設備のメンテナンス業務が中心です。
【従事できる業務内容】
● 鉄道路線の保守・点検(線路や信号設備など)
● 駅構内設備の清掃および維持管理作業
● 車両整備に関する補助的な作業

15.林業

林業は日本国内の森林環境を守り、木材資源を活用する産業です。森林保全や木材生産に携わる人材が不足しており、特定技能外国人が活躍しています。自然環境に配慮した作業姿勢と体力が必要な仕事です。
【従事できる業務内容】
● 森林での植林や伐採作業、間伐作業
● 木材の運搬および集積作業
● 森林環境整備(草刈りや枝打ちなど)
16.木材産業 木材産業は、住宅建築や家具製造に欠かせない木材製品を提供しています。特定技能外国人は加工技術や品質管理能力が求められ、即戦力として活躍しているケースもあります。木材加工現場での正確さ、効率性が作業のポイントです。
【従事できる業務内容】
● 製材工場での木材加工(切断・研磨・乾燥など)
● 合板や集成材など建築用資材の製造補助作業
● 製品検査および梱包・出荷作業

まとめ

特定技能制度は日本の人手不足を解消するために導入され、16分野で特定技能外国人の活用が認められています。本記事では、各分野の概要や従事可能な業務内容を詳しく解説しました。介護や建設業、製造業といった基幹産業から、外食業や宿泊業などサービス分野まで幅広く対応しているため、さまざまな企業ニーズに応えることが可能です。 また、すでに特定技能外国人材は即戦力として現場で活躍し、企業の生産性向上やサービス品質の維持に貢献しています。対象業種や具体的な業務内容を正しく理解することで、自社に適した人材を採用するための準備が整います。特定技能制度の活用を検討し、人材不足などに対策していきましょう。