特定技能2号を目指す
「特定技能1号」は通算5年の滞在(就労)が可能な在留資格です。技能実習(1号・2号・3号)を5年修了後、特定技能1号に資格変更した者は、最長10年日本の会社で活動することができます。そして、更に長く日本で働きたい外国籍人材は、一定条件を満たせば「特定技能2号」に資格変更し
更新の上限なく日本で就労し続けることが可能です。ただしこの「特定技能2号」のハードルは意外に高く、簡単に取得することができない在留資格です。
1.日本語力が身についていないと難しい
技能実習生は高卒の方が多く、どちらかというと勉強が好きではないのか、来日後継続して日本語力向上の努力をしている方はほんの一握りの方だけです。特定技能に資格変更が必要な技能検定試験や特定技能評価試験は、多少の日本語力は必要ですが、過去問題等の対策をすれば合格できます。通常、在留資格の取得には高いレベルの日本語の要件は求められませんが、特定技能2号に合格するための試験は、日本人であってもしっかり勉強しなければ合格できない試験を日本語のテキストで勉強し日本語で試験を受け日本語で解答しなければなりませんので、必然的に日本語をしっかり勉強してきている外国人でなければ合格することは難しいかと思います。
2.高いレベルの試験の合格が必要
特定技能2号の資格を取得するためには、分野により試験の内容が異なりますが、例えば工業製品製造業分野であれば、「技能検定ルート」(技能検定1級[学科+実技]) または「評価試験ルート」(ビジネス・キャリア検定3級+特定技能2号評価試験) のいずれかの試験に合格する必要があります。ご存じの方であれば「技能検定1級」の難易度はおわかりかと思いますが、「ビジネス・キャリア検定3級」も実技試験ではないとは言えレベルの高い内容となります。2つのルートがあること、それぞれの試験が年数回実施されること、また受験資格の制約がないことから、早いうちから受験し、何回目かで合格することを目標に計画的に挑戦されるのが良いものと考えます。
3.リーダー的ポジションでの指導実績
飲食料品製造業分野・外食業分野の場合、特定技能2号試験の申込みの際には管理職相当で2年間以上の実務経験を証明する書面の提出が必要となります。また建設分野の場合、建設キャリアアップシステムでのレベル判定(レベル3)を受けている必要があります。いずれにおいても、特定技能外国人自身の日常のスキルアップのための努力と職場における信頼関係の構築、及び、受け入れ企業が早い段階から特定技能2号取得を見据えた相互の取り組みが不可欠です。
4.特定技能2号のメリット
特定技能2号になると受け入れ企業は「支援」の必要がなくなりますので、特定技能1号で登録支援機関に委託していた場合にはその費用負担がなくなります。特定技能2号外国人は、在留期間の制限がなくなりいつまででも日本で就労することが可能となり、家族を呼ぶこともできます。
5.より早い取り組みを
外国人の若者は、来日当初から5年後・10年後の自分を想像し、目標を持って取り組む方はそう多くないように感じます。また関わる学校や送り出し機関・エージェントといった立場の者も、目先の進路だけではく、日本で成功するためにはどうしたらよいのかということを早い段階から教示し刷り込んでいくことが大事かと思います。「継続は力なり」という日本のことわざがありますが「日本語力を高める努力を継続すること」「すぐに辞めないで同じ会社で長く続けること」この2つについては来日するすべての外国人に「来日する前に」しっかり伝えたい。「特定技能1号であと2年しか日本で働けない」となってから「もっと日本にいたい」「もっと日本で働きたい」と思ってもどうすることもできないこともあるので。